義理と人情の時代から、“自由と選択”の時代へ──バーバー業界に訪れている大きな変化」LIBERTY SHARE BARBER 銀座 代表吉田圭祐


日本には、長い時間をかけて築き上げられた「義理」や「人情」といった価値観があります。
それは特に昭和の時代、理容業界に強く根づいていました。
先輩から後輩へ技術やお客様を受け継ぐ。
お世話になった店には恩返しをする。
辞めて独立する時には筋を通し、礼儀を尽くす。
こうした義理人情の文化は、今思い返すと温かさがあり、人と人との絆を大切にする日本らしい美徳でもあったと思います。
僕自身も、その空気を全否定したいわけではありません。むしろ、あの頃の人情味あふれる現場だからこそ身についた礼儀や姿勢が、今の自分の土台にもなっています。
しかし一方で、時代は確実に変わりました。
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義理や人情が美徳だった昭和の経営
昭和の時代の経営者は、「家族のように面倒を見る」というスタイルをとる人が多かったと思います。
給料は安くても、住み込みや食事の世話をしたり、技術以外の生活面まで背負う。
その代わり、スタッフも“家族”のように忠誠を誓い、簡単には辞めない。
ある意味で「義理と人情」が、店を強くし、スタッフを守っていたのです。
辞める人間が出れば「裏切り」と見なされる。
独立すれば「恩知らず」と言われる。
次に働く店にまで圧力をかけるのは、その“家族のルール”を破った者を許さないという発想から生まれていた。
当時は、それが当然でした。
だからこそ、経営者も従業員も一枚岩となり、がむしゃらに働き、業界全体を盛り上げてきたのだと思います。
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しかし、現代には合わなくなった
ただし、それは高度経済成長や終身雇用が前提だった時代だからこそ成立していた価値観です。
現代は、働き方も価値観も多様化しました。
「自分のやりたい技術を伸ばしたい」
「もっと自由な働き方を選びたい」
「ライフスタイルに合わせたキャリアを築きたい」
そう考える理容師・バーバーが増えています。
ところが業界だけは、長らく昭和の名残を引きずってきました。
他業種では当たり前に認められている自由な転職や独立が、なぜかバーバー業界では“タブー”とされてきた。
義理や人情の名のもとに、「縛り」や「圧力」として働いてしまうと、それはもう“美徳”ではなく“非効率”に変わってしまうのです。
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無駄な非効率が淘汰される時代
お客様に良い技術を提供する。
理容師自身が幸せに働ける環境をつくる。
この本来の目的から外れたルールや慣習は、時代の流れとともに淘汰されつつあります。
フリーランスという形で自由に働く理容師が増え、
転職市場でも「働きやすいサロン」が注目されるようになりました。
これからは、義理や人情を盾にしてスタッフを縛りつけるような経営を続けるサロンからは、人が離れていくでしょう。
逆に、時代に合わせて柔軟にアップデートできるサロンには、自然と人が集まる。
それが現代のリアルな流れです。
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義理や人情を否定しないために
ここで誤解してほしくないのは、僕は義理や人情を完全に否定しているわけではありません。
むしろ、それがあるからこそ「人とのつながり」や「感謝の気持ち」が大切にされてきたのだと思っています。
ただし、それを“強制”してはいけない。
感謝は自発的に生まれるものです。
「辞めたスタッフの次の職場に圧力をかける」なんて行為は、本来の義理人情とはかけ離れたもの。
本来美しかった文化を歪めてしまうからこそ、昭和的ルールが「今の時代には合わない」と言われるのです。
僕が考える理想は、義理や人情の温かさを残しながら、縛りではなく“選択”として存在させること。
お世話になった人に自然と感謝を伝えるのは素晴らしいことですが、それを強制される必要はない。
このバランスこそが、現代における新しい美徳ではないでしょうか。
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当サロンのスタンス
LIBERTY SHARE BARBERでは、この考えを土台にしています。
僕たちは、
「自由に働き方を選びながら、自分らしく輝ける環境」 を用意しました。
• フリーランススタイリスト
自分の時間をコントロールしながら、得意分野に集中できます。売上の多くを自分に還元できる仕組みで、努力がダイレクトに収入につながります。
• 社員スタイリスト
安定と福利厚生のもとで、安心してキャリアを積むことができます。チームでの学びや成長もあり、「一人ではできないこと」を共に実現できるのが魅力です。
• シェービニスト(シェービング専門職)
理容の醍醐味であるシェービングに特化し、お客様に磨き抜かれた技術を提供できます。専門性を高めたい方にとって、新しい可能性を広げるフィールドです。
僕たちが大切にしているのは、「自由と責任の両立」。
縛られることなく、それぞれの力を最大限に発揮できる環境を用意しています。
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これからのバーバー業界に必要なもの
これからの時代、経営者に求められるのは「過去を尊重しながらも、勇気を持って変える力」だと思います。
義理や人情は大切にしていい。
ただし、それを武器や鎖にしてはいけない。
スタッフ一人ひとりが自分の人生を自由に選び、自分の技術を存分に発揮できる環境こそが、業界全体の成長につながります。
そして何より、そういうサロンで働く理容師は、お客様に対しても誇りを持って接客できるはずです。
「自分はここを選んで良かった」と思える場所で働く人の姿は、必ずお客様にも伝わります。
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結びに
昭和の義理や人情は、たしかに多くの理容師を育ててきました。
僕もその恩恵を受けてきた一人です。
ただし、今はもう時代が違う。
そのままのルールでは息苦しさを感じる人が増えてしまうのは避けられません。
だからこそ僕たちは、「義理や人情の温かさを残しながら、自由と選択を尊重するサロン」を作っています。
もしあなたが、自由な環境で自分らしく働きたいと思っているなら。
あるいは、昔ながらの縛りに疑問を感じているなら。
ぜひ僕たちと一緒に、新しい時代のバーバー業界をつくっていきましょう。

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